芯出・センターリングの基礎
芯出・センターリングを行おうとする場合は、先ず始めに対象機のガタツキを無くす(据わりを修正)必要がある。
しかし、初心者レベルの者にはこの辺りのことが難しいことのようなので、ガタのある足(ベース)を見極めることくらいは自分で工夫する必要がある。
ガタツキのある足(ベース)が分かればそこを修正するだけで良い。
- ガタがあれば隙間のある足にライナーを挿入しガタをなくす。
- 小型モーターは手で揺する。
- 中型モーター以上は、取付ボルトを締付けたときの動きを測定し調整する。
- ボルトの締付け方は、対角に締付けていくことと、対角均等に締付けていくことが基本になる。
芯のくるいを測定する(共回し)
- 周と面間、左右の荒芯を出して、取付ボルトを締付けて、上・下・左・右の値を測定する。
- 荒芯の調整は手際よく行う。荒芯に時間をかけても本作業ではない。
- ダイヤルゲージ等は指示がなければ動力側に取付ける。
- カップリングや周囲の状況によって、逆の方が測定しやすければどちらでも良いが、記録に測定具取付け位置を明記するか、動力側からの値に修正して記録を作成する。
- 数回測定し同じ値であればよいが、毎回数値が変化する場合は測定具の取付に問題がある。又は、機械or電動機の軸受不良や取付不良を確認する。
芯のくるいを測定する(片回し)
- 共回しで測定する場合には、1回の測定でも正確な値を測定できるが、片回しの場合は、最低でも2回の測定が必要になる。
- 先ず、(共回しの場合と同様に)芯の測定をする。
- 次に、固定側(測定具を取付けていない方)を180°回して、芯の測定をする。(この時に「0°」等にマーキングをしておくとやりやすくなる)
- 「上・下・左・右」各位置の平均値が芯のくるいになる
シックネスゲージによる測定法
- カップリングのマークを合わせて、測定位置を決める。
- 回しながら、カップリングの同位置で4点測定する。
※ 手の感触による部分が大きいので熟練者でも結構難しい測定方法の一つです。
先ずは面間上下の調整
- 慣れてくれば、面周同時に調整できるようになるが、初めのうちは面間上下の傾きを修正後、周の修正を考える方がやりやすいだろう。
- 芯出作業は、数値で計算して調整する方が効率的な作業が可能になる。
- 初めのうちは、勘で修正する方が早いと錯覚する者もいるが、それは勘違いである。
- 勘だけで芯出できるほど、芯出調整は簡単なものではない。
- 感覚的な作業が重要になるのは、計算通り数値が動かないときであるが、これは、熟練者でも困難な作業になる場合がある。(原因が特定できれば簡単)
- 勘だけに頼った作業は、偶然と必然の区別がつかなくなり将来的に危険性を含んでいる。
- 実際に0.01mmの寸法は日常生活では考えることもない数値なので、頭の切り替えが必要になる。
周の調整
- 基本的には全てのモーターベースに同じ厚みのライナーを加除して修正する。
- 取付ボルトを締付けた状態での値を修正するのであり、ボルトを弛めているときの値は参考値とする。
- ボルトの締付け状態で変化の大きいものはベースの不平衡、あるいは、ライナー厚の不平衡が考えられる。
- ただし、機械がベースに平行になっていない場合は、小型モーターは大きな動きが出る。
面間左右の調整
- このあたりの感覚は熟練する必要があるが、面間上下の平行度が出せるようになれば、左右の平行度も同様に調整できることになる。
- 面間左右は周の調整と同時に進める必要がある、或いは、左右の平行度をある程度追い込んでから、モーターを平行移動することを考えても良い。
面間修正値の計算方法
必要な寸法を測定・記録する。記録する必要がなければ暗算する- 相手カップリングから、直結側ベース中心までの寸法(a)
- 前後ベース中心間の寸法(b)
- カップリング直径(測定位置の直径)(C)
計算方法
- a ÷ C ×(修正したい寸法)= 直結側ベース(A)の修正寸法
- (a+b) ÷ C ×(修正したい寸法)= 反直結側ベース(B)の修正寸法
- (a+b)は最初から一つの値として測定しても良いが、暗算する場合には (b)÷(C)×(修正したい寸法) でも前後どちらかへの加減で修正できるため便宜上分けて測定している。
注意点
回転させる度に値が変わる場合- ダイヤルゲージの取付不良等を確認する。
- 共回しの場合、スラスト及び軸受のガタを確認する。
- スラストがある場合、一方方向に押付けて測定する。それでも上手くいかない場合は片回しにする。
- 軸受に円周方向のガタがある場合は、軸受の不具合が考えられるので御客先に報告する。記録に残すことも重要である。
ダイヤルのタレを考慮する場合
- 事前にダイヤルのタレを測定しておく。その場合、取付アームの長さを同じに固定する必要がある。
- 長さや角度を変えた場合は、測定値に影響がある。
測定部位の腐食等による読取り誤差
- カップリングの表面を手入れしても、凹凸が残り測定値の読取りが困難な場合は、測定部位のみヤスリ等で表面を平らにする。
- 共回しの場合は一個所、片回しの場合は四個所手入をする。
微調整(最終的な0.01mm単位の調整)
- 微調整は調整する側の取付ボルトのみ弛め、反対側は締付けた状態でライナー調整をする方が早い場合がほとんどであるが、モーターベースや取付ベースを変形、破損、欠損する可能性があるので要注意である。
- 実践する際に、自分なりに効率的な方法を考えましょう。
使用工具リスト
- ダイヤルゲージ、レバーテスト
- シックネスゲージ、テーパーゲージ
- バール、ハンマ、矢、(ジャッキ)
- ライナー切り、マイクロゲージ
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